脳卒中の予防

脳卒中の再発予防には、禁煙や食事、運動などの生活習慣そのものを改善して、健康な生活を送ることが重要です。

1.規則正しい生活をし、ストレスや疲労をためない

不規則な生活、ストレス、寝不足や過労は、血圧を上げるホルモンを出やすくし、そのような生活を続けていると動脈硬化が進行するといわれています。

2.水分を十分にとる

水分を十分にとらずに脱水となった状態では、血液が濃くなって固まりやすくなり、脳梗塞のリスクが高くなります。日中の外出などでからだを動かした場合や、夏はもちろん、冬でも暖房が効いた所に長らくいる場合などには、十分に水分を補給しましょう。
目安としては、1日1.5 リットル程度摂取できるとよいと思います。

3.適度な運動をする

運動は、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果もあります。
肥満や糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などの生活習慣病の予防や改善に役立ち、さらには脳卒中の予防にもつながります。
運動は、定期的に無理をしない程度にすることが効果的です。
例えば、散歩を1 日に30分を週3回など。後遺症で片麻痺などのある人も、体調に合わせて軽い運動をするのがよいでしょう。

4.標準体重を目指す

食べ過ぎや運動不足などにより内臓肥満型肥満になると高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を発症しやすくなります。これらの生活習慣病は脳梗塞再発の危険因子となるため、標準体重を維持することが重要になってきます。
肥満度の判定にはBMI(Body Mass Index)が用いられます。

BMI=体重(kg)÷ 身長(m)2

普通体重はBMI が18.5 以上25 未満の状態をいい、25 以上で肥満と定義されます。

標準体重(kg)=身長(m)2 × 22

5.禁煙

たばこは「百害あって一利なし!」 喫煙することによって、がんや心臓病など、さまざまな病気にかかるリスクが非常に高くなります。喫煙により血液は濃くなり、血管の壁が傷ついて動脈硬化が進み、脳卒中を起こしやすくなります。

6.栄養バランスを考えた食生活

塩分の多い食品は控えましょう。食塩の目標は1日男性7.5g未満、女性6.5g未満です。ただし高血圧のある人は6g未満です。(カップ麺1杯には約5gの塩分が含まれています。)
良質なタンパク質(肉類を控え、できるだけ鯖、いわしなど背の青い魚)を摂りましょう。また、食物線維(野菜や海藻)もしっかり摂り、便秘も防ぎましょう。

7.適度な飲酒

アルコールは、適量を過ぎれば逆に体の毒になり、脳卒中になる危険性も高まります。
体に負担をかけずに適量を正しく飲むことで、体への悪影響を防ぎましょう。

お酒の適量(1 日の飲酒量の目安)
※女性やお酒が弱い人は半量~2/3 量を目安にしましょう。

8.温度差に気をつける

急激な温度差によって、血圧が高くなり脳出血の危険を増やします。

暖かい場所から寒い場所に移動する時は、上着を着たり、その場所を暖かくしておくようにしましょう。寒い時期に脳卒中の発作を起こしやすいのは、夜中にトイレに立ったとき、朝方に新聞をとりに行ったとき、寒い脱衣場で衣服を脱いだときなどです。

■冷 水

炊事や手洗い、洗面などで冷たい水に手をつけると、場合によっては収縮期血圧(上)が30~40mmHg も上がることがあります。血圧の上昇を招かないためには、夏場以外は人肌程度のお湯を使うようにしましょう。

■入 浴

暖かな部屋から寒い脱衣場へ移動し、さらに熱いお湯に入るといったように、入浴時は温度差が大きく変化します。脱衣場と浴室のドアをしばらく開けておくだけでも、こうした温度変化は防げます。
お湯の温度は、夏は37~39 度くらい、冬は40 度くらいを目安にしましょう。

※暖かい環境とは言っても、コタツや電気毛布を使っていると、いつの間にか汗をかき、脱水になっている事があります。脱水になると脳梗塞をおこしやすくなります。入浴前後や就寝前には、十分な水分を摂るよう心がけて下さい。